果たし得ていない約束

戦後70年の今年。壮絶な最期を遂げた三島由紀夫が没してから45年が経ちました。自決した1970年(昭和45年)、7月7日付の産経新聞夕刊に三島はテーマ随想「私の中の25年」に『果たし得ていない約束』を残します。もしもまだ生きていれば三島も今年で90歳。残された私たちはまだ約束を果たし得ていないままかもしれません。

私の中の二十五年間を考えると、その空虚に今さらびっくりする。私はほとんど「生きた」とはいえない。鼻をつまみながら通りすぎたのだ。

出典 http://blogs.yahoo.co.jp

二十五年間に希望を一つ一つ失って、もはや行き着く先が見えてしまったような今日では、その幾多の希望がいかに空疎で、いかに俗悪で、しかも希望に要したエネルギーがいかに厖大(ぼうだい)であったかに唖然とする。これだけのエネルギーを絶望に使っていたら、もう少しどうにかなっていたのではないか。

出典 http://blogs.yahoo.co.jp

私はこれからの日本に大して希望をつなぐことができない。このまま行ったら「日本」はなくなってしまうのではないかという感を日ましに深くする。

日本はなくなって、その代わりに、無機的な、からっぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜目がない、或る経済的大国が極東の一角に残るのであろう。それでもいいと思っている人たちと、私は口をきく気にもなれなくなっているのである。

出典 http://blogs.yahoo.co.jp

あえて抜粋しましたが、最後のこの『無機的な、からっぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜け目がない、或る経済的大国が極東の一角に残るのであろう』、まるで予言のような預言のような。

高度成長期で国民全体が上を向いていれた時代よりも現代の方が内外に様々な大きな問題を抱えているような気がします。

三島由紀夫と美輪明宏

出典 http://laughy.jp

涼やかな幻想とはまさにそういった熱苦しい現実の中から生れてくる。

美輪明宏は、自分の幻想に同化するたまに苦行に近い努力をしたに違いない。彼の欲望の対象が、三島由紀夫だったというのは、当然すぎて面白みに欠けるほどだ。なぜなら、三島もまた自己を幻想と同化させることに命を張った存在であったからだ。

そんな両者の闇に成り立ちうる欲望というのは、その有り様自体が幻想でしか成立し得ないだろう。

出典中島らも「恋はそこぢから」

貧弱な身体にコンプレックスを持っていた三島。文武両道の名の元に筋肉の鎧を纏い、それを肉体的教養と表現し、日本のインテリはそれがまったく欠落していると批判しました。ただそのきっかけ、と言うか背中を押したのは美輪明宏の一言だったそうです。

その前から、死は計算済みでしたから。だから、いつ始めるかということのきっかけになっただけですよ。きっかけなだけで、それまでセバスチャンの絵じゃありませんけども、死ぬ時に立派な体じゃないとみっともないじゃないですか。だから、いつそういう体を作ろうかということで、精進はしてらしたのね。

ただ、そのきっかけがなかなかなかっただけで、たまたま私がクラブでダンスをしたときに、冗談をいったんですよ。あのころ、肩パットが入ってる背広が流行してまして、ふたりで踊っていて「あらパット、パットパット、三島さん行方不明だわ、どこいったの?」っていったんですよ。

出典 http://www.tv-asahi.co.jp

「俺は不愉快だ、帰る」って真っ直ぐにお帰りになったの。それっきり音信が途絶えてたんですよね、で、ある日電話がかかって来て「出て来い」って。「どこにいらっしゃるんですか?」っていったら、後楽園にいるっていって、後楽園でボディビルをやってらして…。あのかたは、こうと思ったら絶対なさる方だから。

出典 http://www.tv-asahi.co.jp

その後、上半身裸になって見せびらかした、と言われています。

「何故もっと長くしてくれないの?」

出典 http://jamtali.com

映画「黒蜥蜴」でキスのリハーサルで美輪明宏に言ったとか。

ストイックにすぎる思想と肉体。壮絶な人生と作品からはちょっと想像しにくい三島由紀夫の人間らしい部分が垣間見える微笑ましくもあるエピソードです。むしろここだけ見ればかわいい(笑

三島由紀夫、生誕90年。没後45年。

ここでもう一度三島由紀夫の作品を読み返してみませんか?

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酒と泪と家族とコネタをこよなく愛する40代半ばの週末料理人、たまに公式ライター。兵庫県生まれ兵庫県育ち。東京在住。主に飲み屋街に出没。人生はプロレス。生きものばんざい。涙腺弱い。胆石持ち。豆腐メンタル。アイドル好き。同級生の嫁、大学生の息子と中3の娘、そしてカメ3匹と暮らしています。BABYMETALが遠くに行ってしまい子離れに耐える親気分w (twitter: @makidekazu )

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